PGYTECH初の超望遠レンズ対応カメラバッグ「OnePro ST Backpack」を最速レビュー!
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こんにちは、PGYTECH JAPANの黒川です。今回、PGYTECHから「OnePro ST Backpack」が発売されました。

PGYTECH初の超望遠レンズユーザー向けカメラバッグで、同社のフラッグシップシリーズである 「OnePro」 の名を持つ製品です。OnePro といえば、昨年の8月に初のフラッグシップとして OnePro Flex と OnePro Focux が発売されて以来、人気シリーズとして支持を集めています。それから約1年を経て、新たなOneProシリーズが登場しました。なお、製品名の「ST」は「Super Telephoto(超望遠)」の略称とのこと。今回もどんな素晴らしい製品に仕上がっているのか、期待と興奮が高まります!
OnePro Flex と Focux のレビューはこちらからご覧ください。
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OnePro ST Backpack の特徴
まずは OnePro ST Backpack のスペックをご覧ください。
色 | ナイトカモフラージュ |
容量 | 45L |
サイズ W × H × D |
外寸:620 × 300 × 250mm 内寸:590 × 270 × 220mm |
重量 | 仕切り込み:2,820g 仕切りなし:2,200g |
OnePro ST Backpack に付属するセット内容は以下の通りです。
・ストラップ ×2
・上部囲い用パッド ×1
・左側囲い用パッド ×1
・右側囲い用パッド ×1
・内部クッション仕切り(左) ×1
・内部クッション仕切り(右) ×1
・強化底面パッド ×1
・レインカバー ×1
専用設計の新型バックパネル
OneProシリーズといえば、立体的な背面デザインが象徴的です。OnePro ST では「AerisFrame」と名付けられ、以前の OneProシリーズとは少し仕様が異なりますが、同じく最高級ラインのみに採用される特別な構造となっています。
定評のある7シリーズ航空宇宙アルミニウム製の3Dアーチサスペンションフレームと、通気性のあるメッシュ素材を組み合わせ、さらに「“イーグルウィング” サスペンションバックパネル」という新しいデザインのクッションを採用。人間工学に基づいた背中にフィットする形状であることはもちろん、Y字型の通気チャンネルが背面にこもる熱を効率よく逃がし、長時間背負い続けても快適さを保ちます。
また、クッション部分の高密度リッジフォームは、程よい硬さと柔軟さを両立し、重い機材を背負った時にありがちな、背中にカメラバッグが密着しすぎることによる蒸れや腰の痛みを軽減してくれます。
各種ストラップやサイズ調整もブラッシュアップ
ショルダー部分も人間工学に基づいた設計で、耐久性に優れた造りながら、通気性の高いメッシュ素材を使用することでムレを防ぎ、快適な背負い心地をキープします。また、以前の同シリーズでは4段階だった背面長調整システムが、面ファスナー式に変更され、無段階調整が可能になりました。体にフィットするよう細かくカスタマイズできるため、歩いているときなどに起きるカメラバッグの無駄な揺れを抑え、疲労を軽減します。
OneProのもう一つの特徴である極太のウエストベルトは、今回も腰にしっかりフィットして重さを分散します。左側にはスマホなどを収納できるミニポケット、右側には様々なアクセサリーポーチなどが取り付けられるベルトを備えています。また、今製品ではこのウエストベルトをカメラバッグ本体から取り外せるようになりました。もっとバッグをスマートにしたい方や、キャリーケースなどに載せて移動したい方にとって嬉しいアップデートですね。

超望遠レンズに最適化された収納スペース
いよいよ本題、収納スペースについてご紹介します。フロントアクセスは180度と大きく開き、内部はバッグの上から下まで貫通する造りになっています。内寸は高さ59cmと大変広く、通称ロクヨンやハチゴローと言われる定番の超望遠レンズはもちろん、話題の300‐600mm F4や一般販売されるレンズの中でも最大クラスの1200mm超望遠レンズも、カメラに装着したまま簡単に収納できます。高ささえ問題なければ、テレコンバーターを接続したまま収納することも可能です。

上の写真で収納されている機材は、PENTAX K-1 MarkIIとアダプター、smc PENTAX-A★645 600mmF5.6ED[IF](レンズフード繰り出し状態)で、高さ55cm、横幅15cm、奥行き19cmの組み合わせです。
サイドポケットはカメラバッグ両方の側面に大きく設けられ、様々なアクセサリーが細かく収納できるよう仕切られています。使い方はユーザー次第で、充電ケーブル類やモバイルバッテリーのほか、飲み物や携行食を入れておくのも良いでしょう。収納用のポーチいらずで管理できる設計に、PGYTECHらしい工夫を感じます。
おなじみのバッテリーポケットもここにあります。
撮影での使い勝手を確認
超望遠レンズとカメラを一緒に持ち歩くためのカメラバッグということで、これを機に久々に超望遠レンズ主軸のシステムで秩父鉄道の撮影に出かけることにしました。収納した機材は以下の通りです。
・PENTAX K-1 MarkII Silver
・P645 – Kマウントアダプター
・smc PENTAX-A★645 600mmF5.6ED[IF]
・PENTAX-FA 35mm F2
・HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited
・Velbon Geo Carmagne E545L(三脚)
・Velbon PHD-51Q(雲台)
実際に収納すると、カメラに超望遠レンズを付けたままでも、かなり余裕があることが分かります。

その他の荷物も含めて重量は約12kg。OnePro STを含めて総重量15kg程度です。この重装備で、どのくらい快適に運べるか楽しみです。
まずはJR八高線の寄居駅まで移動し、そこから約20分歩いたところにある桜沢陸橋を目指します。20分とはいえ、階段あり・坂あり・非常に強い日差しあり(当日は37度)と、体力をジワジワと奪う環境が揃っていました。そんな中で使用してみた最初の感想は「重い機材を背負っている割には、意外と疲れない」でした。
超望遠レンズはとても重い機材のため、歩行中にバッグ内で動くと荷重バランスが悪くなります。OnePro ST は、バッグ内の仕切りを好きなように配置できるため、効果的に機材を固定できます。さらに、レンズ上部をラップアラウンド仕切りで挟み込むことで、収納中のレンズが不意に動くのを防ぎます。持ち運びやすさの秘訣は、こういった点を徹底的に防止しているのも要因でしょう。
ウエストストラップを外したり肩掛けにしたりと、いろいろな使い方を試しながら進んでいき、いよいよ目的地に到着しました。桜沢陸橋の南側に立って見下ろすと、大変見晴らしがよい環境が広がり、500m以上続く直線の線路を走る様々な列車を撮影・観察できます。特に秩父鉄道では車両編成が長い鉱石列車(石灰石)が走るため、先頭から最後尾の車両まで一度に撮影できる場所として、優れたポイントです。
到着したら撮影準備に取り掛かります。OnePro ST は超望遠レンズを収納するだけでなく、瞬時に取り出せるのも魅力です。バッグを置いてメインのジッパーを開ければ、カメラとレンズを接続したまま取り出せるため、撮影準備に1分もかかりませんでした。
カメラバッグを地面に置き、撮影を開始します。MFのみのレンズのため、浅い被写界深度に注意しながら慎重に調整して撮ります。この場所では目的であった秩父鉄道の鉱石列車に加え、1日に1往復のみ運行するSLパレオエクスプレスも撮影できました。

2つ目のポイントへは、秩父鉄道桜沢駅から乗って上長瀞まで向かいます。暑い日の撮影はまさに体力勝負。移動中は脱水症状に気を付けて、こまめに水分補給します。
OnePro ST のショルダーストラップには水筒用のメッシュポケットがあり、ここには500mlペットボトルが入ります。写真のように、通常規格より少し大きいものも収納できるため、飲み物だけでなくスナップ用のコンデジなどを入れておいても良いかもしれません。私もよく、ここにGRⅢを入れています。

長瀞駅に到着したら、川沿いまで歩いていきます。向かうのは、隣駅の上長瀞駅付近にある有名な撮影スポット、秩父鉄道荒川橋梁です。秩父を代表する風景のひとつで、今から100年以上前に花崗岩とレンガ積みで造られた、路線の中で最も長い橋です。
目的地までは、長瀞ののどかな景色を楽しみながら歩きました。さすがに超望遠レンズでスナップ撮影は難しいので、一緒に持ってきた小型のレンズに切り替えます。OnePro ST のメインコンパートメントには、超望遠レンズだけでなくテレコンバーターなどを収納できる2つのクッションポケットを備えています。小型レンズ程度であれば問題なく収納できるので、今回は道中のスナップ用レンズをここに入れていました。

撮影地に到着したら、すぐに準備を整えます。河川敷まで降りると、橋の上を通過する列車をしっかりと捉えることができるため、どう写したいかを考えながら撮影位置を決め、目当ての鉱石列車を待ちます。
辺りが暗くなってきたため、三脚を使用しながらの撮影となりました。この場所は、超望遠レンズがなくても充分に鉄道写真撮影を楽しめるスポットなので、初めて秩父に訪れる際には立ち寄ってみると良いでしょう。

〈総評〉
超望遠レンズを扱う撮影では、基本的に必要な時は出すけれどそれ以外では荷物になってしまう点が悩みの種になります。特に、野鳥や鉄道のように撮影ポイントを転々と移動する場面では、頻繁に持ち歩きが発生し、場所や状況によっては車移動ができないために10kg以上の機材を徒歩で運ぶことになります。
OnePro ST なら、撮影したいときにすぐに取り出せて、撮影が終わればすぐに収納して背負ったまま運べます。ただ収納したいだけなら、大きめのカメラバッグを用いるのも手ですが、今回のような超望遠レンズを主軸にした長時間の撮影ではやはり超望遠レンズに特化した専用設計のカメラバッグの方が効率的に撮影でき、疲労も軽減できることを実感しました。
PGYTECHは、最高の写真を撮るために最高のパートナーとなるような製品を開発することに熱心なメーカーです。この製品は、多くの超望遠レンズユーザーの新しいパートナーになり、様々な写真活動がより一層楽しくなると思います。
ぜひ、お近くのPGYTECH取扱店や、DJI認定ストア 東京虎ノ門 へご来店いただき、実際に OnePro ST Backpack をお試しください。